前回のユキヤナギ編では、少しバラ科の特徴について触れた。
今回は、その補足をしようと思う。
バラ科の花は、花びらが全部で5枚あり、中心に沢山の雄しべをつける。
これは、バラ科全てに共通することだ。
しかし、バラを思い浮かべ疑問に思った方もいるであろう。
え、バラって、花びらたくさんあるじゃないか。
その通りである。
よく見かけるバラには花びらがたくさんある。
これはどういう事かというと、かつて、全てのバラは花びらが5枚だった。
しかしある日、何らかの原因により雄しべが上手く作られず、穴埋めとして本来雄しべになるはずの部分を花びらに変化させた個体が現れた。
これが八重咲きの始まりである。
(ちなみに、花びらも雄しべも雌しべも、元は葉から派生したものだ。)
突然変異で現れたその個体があまりに美しかったため、当時の人間はなんとか同じものを作りたいと考えた。
しかし、雄しべがないということは種を作ることができない。
そのため、なんとかその個体から株分けや接ぎ木を繰り返し、増やしていったのである。
つまり、バラ科で八重咲きのものは品種改良されたものだ。
起源を辿ると、原種は必ず5枚の花びらで構成されている。
原種に近づくほど、繁殖能力は高くなる。
桃とか梨とかアーモンドとか、バラ科には果樹も多く含まれ、大変お世話になっている。
これも先人たちが美味しく食べられるように品種改良を重ね、後世に残してくれたものである。
バラ科食品をいただく時は、先人に感謝の思いを馳せてみてもいいかもしれない。
fuuka