私は、数ある花の香りの中で、ウメの香りが1番好きかもしれない。気品があり、なんだかホッとする。ウメの香りと共にお茶を飲みたいものだ。
だから私は、冬の終わり頃が好きだ。良い香りがフワッと漂う。
完全な春は、気候が良すぎるせいか、なんだかぼーっとしたり、体調を崩すことが多いのであまり好きとは言えない。しかし、この冬と春の境目の季節は好きだ。(ちなみに、1番好きなのは秋である。)
ウメは紅いものも白いものも美しいが、たまに紅白両方の花を1本の木に咲かせるものがある。
それが、画像のような「源平咲き」である。本当に美しくて可愛らしいと思う。
これは、接ぎ木をした訳でも品種改良をした訳でもなく、たまたまこのような咲き方になったのだ。
このウメは元々は紅い花のみを咲かせるウメだったのだが、紅い色素を作る器官が何かの弾みでエラーを起こしたため、白い花が混じってしまったのである。
このような源平咲きや、八重咲きのような美しい咲き方をする花には、大体突然変異やエラーが付き物である。
人類も、いつか突然変異した個体が現れるかもしれない。それを現代の人間が受け入れられるのかは分からないが、私は単純に興味があるため、その瞬間に立ち会ってみたいと思う。
ところで、私は子どもの頃、梅干しが大好きだった。
今は嫌いではないのだが、半年に1度おにぎりに入っているものを食べれば良い方である。思えば、子どもの頃一生分を食べたのだろう。
小学3年の正月、お年玉を貰った私は物産館へ行き、1粒300円もする南高梅の6粒入りを買った。つまり、1,800円である。
小学生にとっては大金だが、その額も惜しくないほど、梅干しが好きだったのだ。
お年玉で梅干しを買う子どもなど、私以外に聞いたことがない。
子どもは味覚が鋭いと聞くが、当時の私は梅干しを酸っぱいとは感じなかった。レモン等も同様に、普通に食べていた。
大人になった今、レモンを料理にかけることはあるものの、そのままとなると酸っぱくて食べられたものではない。
「わかもと」という名の整腸剤があり、それを祖父がよく飲んでいたのだが、私はこれをラムネのごとくボリボリかじり、食べていた。今となっては、あんな苦いものを何故そんなに好んで食べていたのかが分からない。
果たして、本当に子どもは味覚が鋭いのだろうか。実は、まだ発達の途中で、逆に大人より鈍いのではないのか。
涼しい顔をしてレモンをかじる娘を見て、最近疑問を抱いている。
fuuka