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あるバイトの気まぐれ樹木紹介(カネノナルキ編)

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カネノナルキは実に沢山の名前がある。
正式にはクラッスラ・ポルツラケアというらしいが、横文字で長い上に、「金の成る木」で充分通用するため別に覚える必要はない。

園芸名としてはカゲツと呼ばれる。
こちらは漢字で「花月」と書き、実に可愛らしい。こちらは覚えていても損は無い。

他に和名でフチベニベンケイとか、英語でマネーツリーとか、ダラープラントとか呼ばれているらしいが、葉の形が硬貨に似ていることからカネノナルキ、こちらの方が覚えやすいに違いないであろう。

私は、このカネノナルキには少し渋い思い出がある。

私は小学1年生のころから、祖母に連れられ、祖母の友人が先生をやっている書道教室に通っていた。
先生は観葉植物が好きだったようで、いろんな植物が部屋に飾られていた。

その中に、丸くてつやつやした葉が可愛らしい植物があった。
私は、祖母にあの植物は何という名前かを尋ねると、あれはカネノナルキだと教えてくれた。

なんと、あれにはお金が実るのか!良いことを聞いた、これで私はお小遣いに困らない。
本気でそう思った私は、家に帰り、父にカネノナルキを買ってくれとせがんだ。
私の真意など知らない父は、娘が植物に興味を示したのが嬉しかったらしく、小さなカネノナルキを買ってくれた。

さあこれで私は億万長者だ。
ところで、紙幣と硬貨、どちらが実るのだろうか。紙のお金というものは、ニセモノが出回らないように番号が振ってあったはずだ。
たしか、硬貨にはそんな番号は書いていなかった。つまり、百円玉や五百円玉などの硬貨が実るのか!
私はとてもワクワクした。百円玉といえば小学生には大金である。

しかし、待てど暮らせどお金は実らない。
栄養が足りないのかな?と思い父に聞きにいき、そこで真実(名前の由来)を知った。

お金が実るものではなかったのか…
私は自分が情けなくなり、肩を落としながらカネノナルキに目をやった。

ふと、それがとても美味しそうに見えた。
葉の質感は肉厚で、アロエを思い出させる。
アロエヨーグルトが好きだった私は、あの葉もシャキッとしていてほんのり甘いんじゃないかと思い、少し齧ってみた。

その瞬間、舌の上にものすごい渋みが走った。渋いし、口の中がキシキシする。これがえぐみと言うやつか。
私は慌てて口をゆすいだ。

これが私の渋い思い出である。

そして先日、少し目を離した隙に1歳半の娘が玄関先に置いてあるカネノナルキの葉をかじっていた。
娘は顔を歪ませ、大量のヨダレと共にそれを吐き出した。

彼女もまた、母と同じ、渋い過ちを犯したのである。

fuuka