さて、タイトル変更後第1種類目は、サルトリイバラである。
ちなみに、サルトリイバラは樹木であるため、タイトルを変更したからといっていきなり樹木以外のものを紹介するということにはならなかったのである。
私は園芸用の花などにはあまり詳しくないため、基本は樹木の紹介が中心だと思って頂いて良い。
私は結婚前、別の造園会社で正社員をしていたのだが、当時その会社にアルバイトで来ていたおじいちゃんに、
「fuukaちゃんは、サンキライという植物を知ってるかね?」と聞かれた。
サンキライという植物に心当たりがなかった為、その旨を伝えると、
「サルトリイバラのことを別名サンキライと呼ぶらしい」
と教えてくれた。
詳しく話を聞くと、昔、病気の人が山に入っていき、サルトリイバラの葉を煎じて飲んだことですっかり回復して帰って来たという伝説があるのだという。
それで、「山帰来」との別名がついたそうだ。
おじいちゃんは、山から帰って来たからサンキライなどとは、なんとも強引に名前を付けたものだ、と笑っていた。
同感である。
もっと、病気を治すということを全面的にアピールしたほうがいいんじゃないかと思う。
しかし、おじいちゃんはこの名前を気に入っているらしい。
旅人を連想させ、雄大なイメージが感じられるそうだ。山から帰って来る旅人というのは、なかなかロマンがあるじゃあないか。
この人は柔軟に物を考える人なのだな、と私は感心した。
私もこんな風に柔らかい頭で物事を考えていきたいものである。
ちなみに蛇足ではあるが、花屋等でサルトリイバラを注文する時は、サンキライと伝えた方がスムーズに進むようである。
さて、西日本では、サルトリイバラの葉を柏餅のカシワの葉の代わりに使用することが多い。サルトリイバラの葉を塩漬けにしたものに、餅が包まれているのを見たことがある方もいるのではないだろうか。
西日本にはカシワがほとんど自生していないため、サルトリイバラの葉が使われているようだ。
この塩漬けにされた葉は、あまり美味しいとは言い難い。
筋が硬い上、葉脈の繊維が口の中に残ってなかなか不快である。
だから、私はいつも葉を剥がして餅だけを食べていた。それでも、塩味は餅に残るため、甘さとしょっぱさの具合が丁度いい。
カシワの葉も、本来は食べるものでは無く、味付けのためか、ただの飾りなのではないか。
しかし、桜餅の葉は柔らかくて食べやすい。柄の部分は取り除くが、それ以外はぺろっと食べてしまう。
これも、塩味と餡子の塩梅が良い。
柏餅も桜餅も、あの塩漬けにされた葉があってこそ味が引き立つというものだ。
カシワの代わりであるサルトリイバラも、しっかりとその役目を果たしているのだった。
fuuka