大里造園の敷地には造園屋らしく様々な樹木が植えてあるが、3月も終わりに近づくと、一際目を引くピンク色の花がブリブリと咲いているのが目に止まる。
それがこのハナズオウである。
ハナズオウはマメ科の植物で、マメ科らしく花が終わるとサヤをぶら下げる。
確かに小さな花をよく見てみると、同じマメ科であるフジと似た形の花を咲かせているではないか。
マメ科と言うからには食べられそうだが、このサヤは、毒があったりなかったりとサイトによって情報がマチマチであるため、まあ食べない方が無難である。
ハナズオウは、葉が出るより少し早くに花をつける。
多くのマメ科植物は羽状複葉である事が多いが、ハナズオウの葉は丸っこいハート型をしている。
ハート型の葉を持つ樹木は、他にカツラやマルバノキ等があるが、1度、これらを植えて欲しいという依頼が来たことがある。
その依頼主というのが、心臓病の治療を得意とするクリニックの医者だった。
なんでも、病院を立て替えたのでいっそ庭木も新しくしようと、今までの樹木を全て取払ったそうだ。
心臓病の先生が、ハート型の葉をつける植物を選ぶとは、なかなか粋なものである。
fuuka
大里造園は、創設者が奄美大島出身である為、奄美から持ってきたソテツの木が何本もある。
ソテツから始まった会社と言っても過言ではない。
残念ながら創設者は去年の暮れに亡くなってしまったのだが、残されたソテツは生き生きと育っている。
ソテツはとにかく痛い。
葉と幹に、鋭いトゲがある。
私の1歳の娘は会社敷地での外遊びが好きなのだが、ソテツの近くに行こうとした時は少しヒヤヒヤする。
なんせ、ソテツは大幹の根元や途中から子株を出すため、娘の目の位置に葉のトゲがある事も珍しくない。
ソテツで失明なんて、馬鹿らしいにも程がある。
また、ソテツには毒性もある。
戦時中、暖かい地方の人々は食べるものがなく、仕方なくソテツの実を齧っていたそうだ。
しかし、その毒性により、腹を下したり、嘔吐したりする者が後を絶たなかったそうだ。
最悪、死に至ることもある、厄介なものである。
しかし、立派に育ったソテツというものは大変美しい。
ツヤツヤとしなやかな葉っぱ、どっしりとした幹、園芸初心者でも比較的増やしやすいのが魅力である。
オスとメスで花の形が違うのも、新芽はふわふわと可愛らしいところも愛嬌があって素敵だ。
モダンな住宅など、大きめの石と組み合わせるとその美しさは倍増する。
室町時代の日本で流行ったそうだが、また再ブームが来てもおかしくないのではないかと思っている。
fuuka
私は樹木が好きである。
実家で造園業をしていたため、子供の頃から樹木に囲まれて育っていた。
私も、将来は植物関係の仕事に就くんだろうなぁとなんとなく思いながら、特に勉強が得意なわけでもなく、運動も苦手で、ただ植物図鑑と睨めっこをしながら毎日を過ごしていた。
なので、その辺の庭師さんを捕まえたとして、その人と植物知識勝負をすれば、大体は勝てる自信がある。
造園技能士1級を受けた時も、実技は赤点ギリギリの出来であったにも関わらず、要素試験(樹木の実物を見て名前を答える)で満点を取ってしまった為、楽々合格してしまった。
植物に関する知識は、私の唯一得意とするものなのだ。
そんな私が、気まぐれで植物について語っていきたいと思う。
たまにこのブログを覗いて頂けると有難い。